誰もが陥る可能性のある『多頭飼育問題』(いわゆる多頭飼育崩壊)について
多頭飼育問題とは?
「多頭飼育問題」とは、ペットの犬や猫が無秩序に増えすぎて、世話や掃除ができなくなり、
- 糞尿が放置され、悪臭や害虫の発生等による 飼い主の生活環境の悪化
- 飼育動物に栄養不良が起こり、感染症の蔓延等による 動物の状態の悪化
- 悪臭や騒音、害虫の発生等による 周辺の生活環境の悪化
などが生じている状況を指します。
多頭飼育問題に陥りやすい人
近年、県内の保健所で飼い主から引き取った犬や猫のうち大半は多頭飼育となってしまった人からの引取りとなっています。
「多頭飼育問題」と聞くと特別なことと思うかもしれませんが、そんなことはありません。誰にでも起こりうる身近な問題なのです。
環境省の調査では、多頭飼育問題の背景には、飼い主の経済的困窮や精神的・身体的問題、社会的孤立などの問題があり、社会福祉的な支援を必要とする飼い主が多いことが明らかとなっています。
このことから多頭飼育問題は「人の問題」と「動物の問題」の両面から、関係者が連携して対応する必要があります。
多頭飼育崩壊を防ぐために
犬や猫を飼育する際は、避妊去勢手術を最優先に!
子犬、子猫が生まれることを望まない場合は、オスもメスも、まず避妊去勢手術をすることが大切です。
避妊去勢手術には費用がかかりますが、最初の1頭に手術を行わずに、多頭になってから手術を行うと、さらに費用負担は増加します。
また、「かわいそう」と手術を行わずに多頭になると、動物はストレスが増え栄養状態が悪化して、もっとかわいそうな状態になります。
反対に、手術をすることで問題行動(発情時の鳴き声、マーキング等)の減少や生殖器系の病気の予防、ストレスの軽減になり、動物のためにもなります。
<避妊去勢手術のメリット等>
避妊手術 (卵巣と子宮の除去) |
去勢手術 (精巣の除去) |
|
メリット |
・望まない妊娠が無くなる ・卵巣や子宮の病気や乳腺腫瘍などの予防 ・発情期特有の問題行動が無くなる (予防できる問題行動の例) 大きな鳴き声、トイレ以外での排尿、 外に出たがる神経質になる、 犬では発情に伴う出血がある 等 |
・精巣や前立腺、肛門周囲の病気の予防 ・メスへの興味による性的ストレスの軽減 ・発情期特有の問題行動が無くなる (予防できる問題行動の例) 大きな鳴き声、無駄吠え、マーキング、 ケンカ、攻撃性、脱走 等 |
デメリット |
・手術には全身麻酔のリスクがあるが、適切な麻酔管理で軽減できる ・手術後、肥満傾向になるが、適切な食餌管理と運動で防げる など |
甘く見ないで!おそるべき猫の繁殖力
猫の繁殖力はとても高く、それは猫そのものの生態によるものです。
犬とは異なり登録や係留の義務がないことから、首輪をつけずに猫を外に出す飼い主が多く、避妊去勢手術をしないとすぐに数が増えてしまいます。
<猫の繁殖力を甘く見ないで!>
- 季節性発情:1年に2~3回発情
- 交尾排卵:メス猫はオス猫と交尾すると100%妊娠
- 妊娠期間:2か月、1回の妊娠で4~8頭出産
- 早期成長:メス猫は生後約6か月で妊娠可能
【出典:環境省パンフレット「捨てず 増やさず 飼うなら一生」より】
黄色信号を見逃さないで!解決のカギは早期発見!地域で見守り、未然に防止!
保健所や動物愛護センターが多頭飼育問題を探知するのは、頭数が増えすぎてお手上げになってから、近所から苦情が来るほどの頭数になってからが多い状況です。
頭数が増えれば増えるほど、解決が困難になります。多頭飼育問題を防ぐには、早期発見、早期対応が大切になります。
もっと早く、多頭飼育問題に陥る前に情報が探知できればペットも飼い主もつらい思いをせずにすみます。親戚や近所の方等に以下のような兆候が見られましたら、最寄りの保健所又は動物愛護センターへご相談ください。
(早期発見チェック項目)
□ オス・メス飼っている、又は性別不明の複数飼いしている
□ 避妊去勢手術をしていない、又はわかっていない
□ 屋外自由に出入りできるように飼育している(特に猫)
□ 犬・猫の数が増えている(子犬・子猫が生まれている)
□ 野良猫に餌やりをしており、頭数が増えている
□ 悪臭やハエなど、周辺の生活環境に被害がでている
【県内の保健所・動物愛護センターの連絡先】
〇県内保健所の連絡先→ 動物愛護管理、狂犬病等に関するお問い合わせ、相談窓口
〇県動物愛護センター(アニマルフレンズ熊本)の相談窓口
→TEL:0964-27-8115 Mail:dobutsuaise@pref.kumamoto.lg.jp
多頭飼育問題周知用リーフレット等
多頭飼育問題は、飼い主がの生活困窮や身体的・精神的な問題等が関連する事案が多く、社会福祉的な支援を必要とすることが多いため、福祉関係者等との連携した対応が必要となります。
福祉関係の皆様におかれましては、以下のリーフレット、チェックリスト等をご活用のうえ、早期発見・早期対応へ御協力ください。
○「多頭飼育問題」周知用リーフレット
○「多頭飼育問題」チェックリスト
飼い主さん(餌をあげている方)へ配布いただきたいチラシ等
〇猫は室内で飼おう!(チラシ)
〇避妊・去勢手術をして飼いましょう(チラシ)
〇無責任に餌をあげるのはやめましょう(チラシ)
〇はじめませんか?地域猫活動(チラシ)
〇飼い主のいない猫(野良猫)の避妊去勢手術を無料で実施します(チラシ)